2026年7月23日

咳や息苦しさは、風邪や疲れ、空気の乾燥などでも起こる身近な症状です。そのため、症状が続いていても「時間がたてば治る」と考え、受診せずに過ごしてしまう方も少なくありません。しかし、夜中や明け方に咳が出る、運動後に息苦しくなる、風邪が治った後も咳だけが残るといった場合は、喘息が関係している可能性があります。
喘息は、症状が出ているときだけ気道に異常が起こる病気ではありません。咳や息苦しさが落ち着いていても、気道の炎症が続いていることがあります。症状を繰り返すと呼吸機能に影響する可能性もあるため、早めに原因を確認し、適切な治療を継続することが大切です。
喘息とは
喘息は、空気の通り道である気道に炎症が起こり、さまざまな刺激に対して敏感になる病気です。炎症によって気道の粘膜が腫れたり、痰が増えたり、気道の周囲にある筋肉が縮んだりすると、気道が狭くなり、咳、痰、喘鳴、胸の圧迫感、息苦しさなどの症状が現れます。
喘鳴とは、呼吸をするときに聞こえる「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音です。ただし、喘息がある方すべてに喘鳴がみられるわけではありません。咳だけが続く場合や、胸が重い、息を吐き出しにくいと感じる場合もあります。症状には波があるため、一時的に治まっても自己判断で治療を中断しないことが重要です。
喘息が起こる原因
喘息の発症には、アレルギーを起こしやすい体質や遺伝的な要因、生活環境などが関係しています。ダニ、ハウスダスト、花粉、カビ、動物の毛やふけなどに対するアレルギー反応が原因になることもあります。一方で、検査をしても明確な原因が見つからない喘息もあり、成人になってから初めて発症する方もいます。
症状を悪化させる要因には、風邪などの呼吸器感染症、たばこの煙、冷たい空気、急な温度変化、運動、睡眠不足、疲労などがあります。香水や芳香剤、線香、殺虫剤などの強い香りや煙によって症状が出ることもあります。また、仕事で扱う粉じんや薬品、小麦粉、木材などが原因となる職業性喘息もあるため、症状が出る場所や時間を確認することが大切です。
喘息の主な症状
喘息の代表的な症状は、繰り返す咳、痰、喘鳴、息苦しさ、胸が締めつけられるような感覚です。特に夜間から明け方に症状が強くなる傾向があり、咳で目が覚める、朝起きたときに胸が重いと感じることもあります。運動後や階段を上った後、冷たい空気を吸ったとき、長く話したときに咳が出る場合もあります。
喘鳴や強い息苦しさがなく、乾いた咳だけが続く状態は、咳喘息と呼ばれます。咳喘息は一般的な咳止めでは改善しにくく、放置すると喘鳴を伴う喘息へ移行することがあります。ただし、長引く咳は副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、感染症などでも起こるため、数週間続く場合は医療機関で原因を確認する必要があります。
喘息の検査と診断
喘息の診断では、症状が始まった時期や強くなる時間帯、季節による変化、運動や仕事との関係、喫煙歴、アレルギー疾患の有無などを確認します。喘息は症状に波があるため、受診したときには咳や喘鳴が出ていないこともあります。症状が出た時間や場所、薬を使った回数などを記録しておくと、診断の手がかりになります。
検査では、息をどの程度吐き出せるかを調べる呼吸機能検査や、吐いた息に含まれる一酸化窒素を測定する呼気NO検査などを行います。そのほか、血液検査、アレルギー検査、胸部エックス線検査を組み合わせることもあります。喘息に似たほかの病気がないかを確認しながら、症状の経過と検査結果をもとに診断します。
喘息の治療
喘息治療では、咳や息苦しさを和らげるだけでなく、気道の炎症を抑えて発作を起こしにくい状態を保つことを目指します。仕事や学校、運動、睡眠に支障がない状態を維持することも大切な目的です。治療薬には、普段から使う長期管理薬と、症状が出たときに使う発作治療薬があります。
長期管理では、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬が中心となります。症状に応じて気管支を広げる薬との配合剤や内服薬を組み合わせます。発作時の薬を使う回数が増えている場合は、普段の治療が十分ではないこともあります。症状が落ち着いても気道の炎症が残っている場合があるため、薬の減量や中止は自己判断で行わず、医師と相談しながら進めます。
吸入薬を正しく使用するために
吸入薬は、薬を気道へ直接届けることで効果を発揮します。ただし、吸い込む速さやタイミング、息を止める時間などが適切でなければ、薬が十分に気道へ届かないことがあります。吸入器にはいくつかの種類があり、粉末状の薬を自分の力で吸い込むタイプや、薬の噴霧に合わせて吸い込むタイプなど、使用方法が異なります。
薬を使っても症状が改善しない場合は、薬の種類を変更する前に、吸入方法や使用回数、薬の残量を確認することが大切です。吸入ステロイド薬を使用した後は、声がれや口腔カンジダ症を防ぐためにうがいを行います。定期受診の際には吸入器を持参し、医師や薬剤師に正しく使用できているか確認してもらいましょう。
日常生活で気をつけること
喘息を安定させるためには、薬を続けるだけでなく、症状を引き起こす要因をできる範囲で避けることも必要です。たばこの煙は気道を刺激するため、本人の禁煙はもちろん、受動喫煙にも注意します。ダニやハウスダストが関係している場合は、室内の清掃や換気を行い、寝具を洗濯するなどの工夫が必要です。
症状が出た時間、場所、天候、直前にしていたこと、薬を使った回数などを記録すると、悪化しやすい条件を把握しやすくなります。冷たい空気で症状が出る方は外出時にマスクを着用し、風邪をきっかけに悪化する方は手洗いや睡眠などの体調管理を心がけます。毎年同じ季節に悪化する場合は、症状が強くなる前に受診して薬の状態を確認することも大切です。
発作時の対応と受診の目安
喘息発作が起きたときは、まず落ち着いて安静にし、医師から指示されている発作治療薬を使用します。薬を使用しても改善しない、効果が短時間しか続かない、何度も追加して使わなければならない場合は、早めに医療機関を受診してください。発作が治まった後も、再発を防ぐために原因や普段の治療内容を振り返ることが大切です。
息苦しくて横になれない、会話が続かない、歩くことが難しい、顔色が悪い、意識がぼんやりするといった場合は、緊急性があります。発作治療薬を使用しても改善しないときは、救急車の要請も検討してください。咳が長引く、夜中に何度も目が覚める、仕事や運動に支障が出ている場合も、内科や呼吸器内科へ早めに相談しましょう。